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第9号
『五十歳からの成熟した生き方』

(海竜社)2006年
 本書の第一の目的は、私自身もまだ達成できていない「枯れる」老い方について追求することだ。
 そのお手本は、日本の社会にはまれだが、アメリカ・インディアンの長老たちの中に多く見出せる。
 高い精神性を身につけ、大自然と一体で、ジョークと微笑みにあふれ、常に心が幼児のように踊っており、あらゆる人に愛情豊かに接し、素朴で飾らず、何の欲得もなく、極貧の生活を楽しんでいる人たちだ。
 私自身、インディアンとの交流を深めていたが、2000年の夏に突然、伝統派の長老から「聖なるパイプ」を授けられ、まったくの異民族で部外者であるにもかかわらず、長老のひとりに列せられた。
 ソニーで技術の世界で生きてきた私にとっては、まったく突拍子もない話だが、それ以来請われるままに「パイプ・セレモニー」という、インディアンの祈りの儀式をとりおこない、インディアンの集会では長老としての務めを果たしてきた。
 まだまだ、まともな長老としてのレベルにはほど遠いが、私自身が文明国の生活ではありえない、深い学びのプロセスに巻き込まれていったことは間違いない。
 本書の第二の目的は、いままで本物の長老から学んできたことを、皆さまにお伝えすることだ。
 そして第三の目的は、私自身の研究者としての素養を生かして、その内容を深層心理学、トランス・パーソナル心理学などの視点から体系的に解説することだ。少し理屈っぽくはなるが、表面的な理解を超えて、より深い納得へつながると信じている。