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Holotropic Network
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はじめに

 ほとんどの人にとって、「ホロトロピック」ということばはなじみがないと思います。これはギリシャ語の「holos (全体)」と「trepein (向かって進む)」を合成したスタニスラフ・グロフ博士の造語で、「全体性に向かう」という意味を持たせています。仏教でいう「悟り」に向うという意味でもあり、個が個を離れて、全体としてひとつの宇宙と融合し、一体感を増していくということから、人々の「意識の成長・進化」(魂の成長)をあらわしています。
 じつは、多くの宗教や哲学の底流に、「永遠の哲学」と呼ばれている、共通 の思想があります。その骨子は、人々の意識は成長・進化する方向性を具えており、「全体としてひとつの宇宙」とのつながりが強化され、融合に向っていく、というものです。
 グロフ博士は、薬物を用いないで人々を変性意識へ導く方法論を探求しました。世界中の先住民のシャーマンの方法論などを研究し、十五年の歳月をかけて開発した方法論を「ホロトロピック・ブレス・ワーク」と名付けました。
 この命名には、彼の方法論が単なる治療や癒しではなく、人々の「意識の成長・進化」を援助するものだ、という意味が込められています。つまり、宗教的な修行とまったく同じ方向性を示唆しているのです。
 一方、精神的な病とその克服のプロセスが、人々の意識のレベルを一段階向上させるという可能性は、トランスパーソナル心理学のルーツであるユング心理学で、すでにいわれておりました。東洋の知恵を目一杯取り込んだ深層心理学者のユングは、精神的な病とその克服のプロセスが、人々の意識のレベルを一段階向上させることを発見しています。これは、精神的な病に限らず、身体的な病気にも当てはまるということです。
 人間という生き物にとって、ありとあらゆる出来事が、「意識の成長・進化」の大切なプロセスの一部であり、病気も例外でないのです。よく観察すると、病気という人生にとっての一大事を経験することが、意識の変容のきっかけになったケースが多々あります。
 もちろん健康な人も含めて、すべての人にとって、「意識の成長・進化」ということは、人生の一大事業です。その観点から見ると、病気のときだけかかわって治療するという、病院という概念自体は基本的にどこかおかしいのです。
 
そこで、胎児のころから死にいたるまで、一生の間指導し、そして人々の「意識の成長・進化」を支援し、より豊かな人生へ導いてくれる施設の構想を立て、「ホロトロピック・センター」と名付け、提唱しました。この命名は、グロフ博士から心良い承諾をいただいております。
 機能としては、(1)身体のケア、(2)心のケア、(3)健康のケア、(4)魂のケア、(5)死のケア、(6)受胎・出産・新生児のケア、などを含み、基本的にはあらゆるプロセスを「意識の成長・進化」の一環として支援する施設です。当然、現在の病院の機能もその中に含み、身体の治療はホリスティック医療が中心になるでしょう。しかし、基本的な特徴として、「ホロトロピック・センター」では、健康な人も含めて、人生全般 を、そしてあらゆるプロセスを通じて「意識の成長・進化」を支援していきます。
 さらに、「ホロトロピック・センター」に準じたものとして「ホロトロピック・リトリート」を提唱しました。治療や診断行為なしで、「癒し」、「健康増進」、「疲労回復」などを切り口に「意識の成長・進化」を支援していく施設です。宿泊設備を持ち、体によい食事を提供し、各種ボディワークや鍼灸、食養、各種のスピリチュアルセミナーを中心に運営されることになります。原則として、自然の中に設置されることが好ましいでしょう。
 規模の小さいものとして、宿泊施設を持たない「ホロトロピック・プレイス」を提唱しました。「ホロトロピック・リトリート」同様、各種ボディワークや鍼灸など運営します。

 いま、社会は急激に変化しています。価値観が変わり、生き方が変わり、社会の基本的な通 念が根底からひっくり返るという、パラダイム・シフトの時代を迎えているといえます。社会の目的が、経済・産業の発展から、一人ひとりの意識の成長・進化に移行しつつあるのです。
 かつて、ソニーの創業者である故井深大氏は、こう語っています(拙書『ここまで来た「あの世の科学』の推薦文)。

――近代の日本では、明治維新、第二次世界大戦の終結と、社会の常識がすっかり入れ替わるという経験をしてきましたが、この二十世紀の終わりに人類が直面 する常識を超越した考え方の変化は、過去のいかなる事柄より大きなパラダイムシフトと言えるのではないかと思います(井深大、一九九四年)――

 つまり、「ホロトロピック・センター」、「ホロトロピック・リトリート」、「ホロトロピック・プレイス」というのは、この社会の大改革の鍵を握っており、運営に従事したり、支援をする人たちは時代の改革者といえます。
 そして「ホロトロピック・ネットワーク」は、そういう開拓者を支援し、情報の交換を促進し、心の拠り所となる、ゆるやかな人的ネットワークを目指します。
 いま私たちは、歴史の目撃者として、かつての中世から近代への移行に匹敵する大改革を、身をもって体験するという幸運にめぐり合わせました。単なる目撃者ではなく、この大改革の推進者となり、新時代の開拓者としての役割が果 たせるなら、最大の幸運といえるでしょう。

(代表 天外伺朗)

目的

一、 ホロトロピツクという概念を理解し、「意識の成長・進化」を遂げることをお互いに援助します。
二、 人々が生まれる前から死まで、健康で幸福な人生が送れるように援助し、病気とその治療を含めたすべてが、意識の成長・進化の大切なプロセスとして扱うホロトロピック・センターの設立を堆進します。医師の常駐が原則です。
三、 病気の診断や治療を含まず、心身の癒しを通 じて人々の「意識の成長・進化」を援助するホロトロピック・リトリート(宿泊施設有)の設立を推進します。ここでは、健康を増進する食事を提供し、ボディ・ワークなどの何らかの癒しの手法が提供され、セミナーやワークショップなども主催されます。
四、 ホロトロピック・プレイス(宿泊施設無し)の設立を推進します。ここでは、アロマ・テラピーや指圧などのボディ・ワーク、温熱療法、鍼灸、呼吸法、瞑想法などのセラピー手法が提供されます。
五、 ホロトロピック・センターやホロトロピック・リトリート、ホロトロピック・プレイス或いは別 の名称で同様な活動をしている仲間のネットワークを形成し、情報交換と助け合いと、共同プロモーションを推進します。
六、 「意識の成長・進化」のための各種手法、瞑想中に至福のうちに肉体を離脱する「マハーサマーデイ」の技法など を探求し、その情報をオープンにします。
七、 「意識の成長・進化」という観点から新しい社会のあり方を探求します。

会員の心得

1. 会員は常に「心のゆとり」と「遊び心」を保って生活し、「意識の成長・進化」につとめること。
2. 会員は、この世を去るときに「マハーサマーデイ」によって肉体を離脱したい、という「ほのかな」、あるいは「強固な」願望を抱いていること。
3. 会員は自分だけでなく、人類すべてが「意識の成長・進化」をとげ、また「マハーサマーデイ」の技法を習得でき るように、ということを発想の原点とすること。
4. 会員は、「ホロトロピック・センター」「ホロトロピック・リトリート」「ホロトロピック・プレイス」、あるいは同様の目的を持った施設の設立や運営に協力的であること。
5. 会員は自らが開発したり、あるいは本会で得た情報やトレーニング方法を積極的に公開し、他に伝授することは大いに奨励される。しかしながら、不当に高額な謝礼を要求してはいけない。
6. 会員は他人に「強迫観念」を強いるような言動を慎むこと。
7. 会員は、つとめて謙虚に真理の発見につとめ、「思い込み」、「ひとりよがり」などの独善的な世界におちいることを極力避けること。
8. 会員は、自分と意見が違う人や団体の存在を頭ごなしに否定しないこと。多様な価値観、発想を、そのままの状態で容認し共存しうる、新しい社会の発展につとめる。
9. 本会の活動のもっとも重要な部分は、会員一人一人の心の中にある。したがって、情報・概念・哲学・技法などの取捨選択に関しては、会員各自の直感に基づいて自らの責任において行なうこと。本会は広く情報や技法を調査し、会員に紹介することはできるが、内容に関してはいっさいの責任を負わない。

 

「ホロトロピック・ネットワーク」代表
天外伺朗(てんげ・しろう)

 本名、土井利忠。1942年、兵庫県生まれ。大学で電子工学を専攻した後、ソニーの研究所で先端技術の開発・研究に携わる。フィリップスと組んだコンパクト・ディスクの共同開発者。近年はエンターテイメントロボット・アイボ、ヒューマノイドロボットの製作責任者としても知られている。その経験より技術評論、人材開発論にも健筆を振るう。
 1997年より、理想的な死に方につながる光り輝く日々を追求する人たちのためのネットワーク「マハーサマーディ研究会」を主宰するが、活動の展開の中で、2004年2月「ホロトロピック・ネットワーク」へと名称を変更し、「魂と意識の成長」「ホロトロピック・センター構想」を掲げる。全国各地での講演活動の他、ケーナ演奏を導入した瞑想指導を行なっている。
 趣味として、ジャズクラブではサクソフォーンを演奏。
 2000年8月、米国ミネソタ州パイプストーンで開かれたサンダンス会場でチョクトー族の長老セクオイヤ師より聖なるパイプを譲り受け、儀式を経て正式なパイプホルダーとなる。2004年8月、カナダ・マニワキ居留地で開催された「Circle of All Nations Spritual Gathering」(先住民の聖なる集い)に招待され、大長老ウィリアム・コマンダ氏よりパイプの祝福を受ける。またパイプホルダーとして日の出のセレモニーに参加し、長老としてのスピーチが高く評価される。
 著書に『人材は不良社員からさがせ』『「超能力」と「気」の謎に挑む』『意識は科学で解き明かせるか』(以上、講談社ブルーバックス)『ここまで来た「あの世」の科学』『未来を開く「あの世」の科学』『般 若心経の科学』(以上、祥伝社)『理想的な死に方』(徳間書店)『意識学の夜明け』(風雲舎)『宇宙の根っこにつながる生き方』『幸福な人生の秘密』(以上PHP研究所)『「あの世」と「この世」の散歩道』(経済界)『大きな森のおばあちゃん』(明窓出版)、『深美意識の時代へ』(講談社)『宇宙の根っこにつながる瞑想法』『光の滑翔』『運命の法則』(以上飛鳥新社)他多数。