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第12号
『GNHへ』
天外 伺朗

(ビジネス社)2009年

GNH(Gross National Happiness)とは、<国民の総幸福量>をいう。 ブータンの前国王が、GDP(国内総生産)に代わる指標として提唱した。 本書では、経済成長を無理に追うより、<ニッポンに幸福が満ちるしくみ>を提案する。        

◆まえがきより◆
「資本主義の崩壊を語る人は極めて多い。
 本書では、資本主義が崩壊にいたる要因を『市場のカジノ化』に絞って掘り下げ、現在のすさんだ状況を『ギャンブル資本主義』と名づけた。
資本主義が内包するこの危険性については、経済学者のケインズが早くから鋭い警鐘を鳴らし(1936年)、また作家のエンデの悲痛な訴えが『遺言』として放送されたことが知られている(1999年 NHK)。
にもかかわらず、最近はこの問題を指摘する人はほとんどいない。
エンデは、人間の心の闇の部分を巧みな象徴的存在として表現するが、本書では『モモ』の『灰色の男たち』を取り上げる。それは、人間のエゴの追及の衝動を象徴し、かつては資本主義社会を発展させる原動力だったのだが、いまやギャンブルに狂い、崩壊を加速させている張本人だ。
また、本書では、灰色の男たちに汚染されていない生き方として、伝統派のアメリカ・インディアンの例を述べる。
実は私自身、長老より『聖なるパイプ』を拝領し、インディアン社会では長老として遇されており、フィロソフィーをみっちり仕込まれた。
インディアンとエンデのフィロソフィーがぴったり重なるところが、本書の最大のミソだ、それはまた、多くの宗教や古の賢者たちの教えに通じる。
本書で説く『いかに生きるか』『次世代社会体制への展望』などは、すべてそのフィロソフィーがベースになっている。
したがって、灰色の男たちに汚染されきった現代人には、突拍子もなく奇異に響くかもしれないが、人類社会のごく自然な進化の方向性を示すことができたと確信している。
本書が、行き詰った日本社会の突破口として、少しでもお役に立てたら嬉しい。」