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『幸福な人生の秘密』
PHP研究所

 ―人は母の胎内から生まれ、宇宙の胎内に帰る―  かつて、CDやワークステーションNEWSの開発をするときに書いた人材活用論で登場したD博士は、本著でもロボット犬「アイボ」の開発者として10年ぶりに登場。久しぶりに会ったD博士は、南米の民族楽器ケーナを吹き、瞑想を指導し、ミュージック・セラピーを主催していた。いわゆる癒しに関わっていた。なぜ?
 90年代に入って、「癒し」という言葉はにわかに注目を集める。社会におけるストレスが増大し、その解消のために癒しが求められるようになったのである。癒しとは何か、という問題を突き止めていくと、人間とは何か、そして宇宙とは何か、という話になってしまう。本著は、その問題に対する著者の解答であり、その答さえわかれば、人間の幸福とは何か、という答もおのずと出る。
 私たちは身の回りで起きる出来事に一喜一憂し、「良い」「悪い」の判定をつねに下している。ところがそれをよく見てみると、良くも悪くもなく中立なのである。私たちが自分の都合で、「良い」「悪い」のレッテルを貼っているに過ぎない。また周囲のあらゆることに「幸福」を見る人が「幸福な人」であり、「不幸」を見る人が「不幸な人」である。
 だが、「くよくよ悩むな」とか「プラス思考」がいいかというと、それらには重大な落とし穴があると、警告する。もともと物事を否定的に見ている人が、理性でむりやり肯定的に見れば、かえって傷を深めてしまう怖れがあるという。理性や論理はあまり助けにはならず、したがって本を読んでも「幸福」にはならない。ただ自分で少しずつ気づいていくしかない。その気づきの著者自身のプロセスと、それをサポートする瞑想のすすめのためにCDが付録に付いている。
 それは革新的技術開発の局面においても、突然、集団が変容し、トントン拍子にうまくいくような現象を何度も経験してきている著者の体験談でもある。
 本著は、各章の終わりに先住民の格言が添えられ、また、瞑想を深めるためケーナ演奏を収録。民族楽器演奏家の丸山祐一郎さんとの競演でCDにして付録して付いている。