2004年08月『ホロトロピック・センター構想』(4/4ページ) |
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ホロトロピックセンター
ホロトロピックセンターの基本機能
ホロトロピックセンターは基本的に、6つの機能を持ちます。
1つは「身体のケア」で、これは従来の病院と同じ方向性を持っています。次に「心のケア」。従来の病院でも心ある医師は、患者の心のケアを重視してきたわけですが、医学教育のなかになかなか入ってないんですね。患者の心のケアは重要ですし、それが治癒に大きく影響します。それから、特に未病の人は、心のケアをちょっと注意するだけで、未病が表に出ないで、健康になることもあります。これが「健康維持のケア」です。次に「魂のケア」。魂ということばを使うと学問的ではないのですが、これがホロトロピックセンター全体のポイントで、意識の成長・進化という枠組みの中でどう考えていくか、ということになります。次に「死のケア」。ホスピスは「死のケアをちゃんとやっているといいますが、実は「死のケア」というのは、それだけではないんですね。私が以前にやっていた「マハーサマーディ研究会」では、瞑想しながら死ぬ
、坐亡を理想的な死に方として考えていました。いま、大多数の人は病院の集中治療室で管だらけになって、死んでいく方が多いんですね。私の父親もそうやって死にました。マハーサマーディというのは、そうではなくて、瞑想しながら意識を持って死んでいく、ということなんです。
文明社会の普通の人は、死から顔をそむけて生きているんです。死というものが、あたかも存在しないような振りをしています。死ということばになるべく触れないようにして生きているんです。これは非常に不自然なことで、実は死と直面
することによって、生きている一秒一秒が輝くんですね。
西洋哲学では「メメント・モリ」、「死を想え」ということになります。ですから、どうせ死ぬ
なら少しはましな死に方をしたいという意識を持つだけで、ほのかに死と対面
できるんですね。「マハーサマーディ研究会」は「死に方研究会」だったわけですが、本当は「生き方研究会」なのです。
それから、もう1つのポイントがあります。死の恐怖をタナトスといいますが、タナトスを克服しないと、意識の成長・進化はありえません。従って、死と直面
しないと意識の成長ができないというのが、根本原理なんです。「マハーサマーディ研究会」で、瞑想しながら死にましょうよということで、ほのかに死に対面
するということは、意識の成長・進化がしやすくなるということなんです。我々は「オギャー」と生まれた瞬間から、死に向かって一秒一秒歩いているわけですから、「死のケア」というのは、そういうことなんですね。
それから「受胎・出産・新生児のケア」。これも大問題です。ミシェル・オダンという産婦人科医は水中出産を提唱した人として知られていますが、私は会社をさぼって、彼と講演旅行をしたことがあり、しばらく「出産問題評論家」をやっておりました。
彼のことばでいえば、「世界の平和は、これだけ一生懸命叫んでもなかなか来ない。平和運動をやるよりも、世界中の赤ちゃんを産んだお母さんが、生まれたらすぐに抱き取って、心音を聞かせてやる、そして母乳で育てたら、この地球上から戦争がなくなる」というのが基本です。
彼と最初の講演旅行は1997年でしたが、この話を聞いたとき、涙が出てきたんですね。その後、グロフの理論をひも解いてみますと、このことばはちゃんと証明されているんです。出産のときに、母子分離を起こすと戦いの人生になっていく、ということが分かっていまして、出産の状況によって、その人の一生がほとんど決まるんですね。
したがって、いまの産婦人科における出産のやり方は、全部デタラメだというのが、彼の言っていることです。これは全部悪いということではないんですが。
現在、母子の死亡率はどんどん減っています。死亡率が減るように、医療介入をしてきたわけですが、その結果
、赤ちゃんの心もお母さんの心もズタズタになってしまいました。そういう出産方法になってしまったわけです。
出産のときは、子宮を収縮するホルモンがいっぱい出ますが、それは愛情のホルモンで、これが濃く残っているときに、お母さんと赤ちゃんが二人きりで、三十分間過ごさなきゃいけないんですね。それを怠ってしまうと、愛情が途切れてしまう。いま、それをちゃんとやってくれる産婦人科がほとんどいないんですね。ですから、産婦人科の問題は緊急で、自然分娩もちゃんとやらなきゃいけない。
ミシェル・オダンの結論は、「産婦人科医というのは、基本的に要らない」ということです。助産婦がいて家庭で産むのが一番いい、という言い方をしています。あとはどこかに、搬送されてきた人の緊急の処置ができる所がいくつかあればいい、ということです。ミシェル・オダンも産婦人科医をやめまして、助産婦を育てる学校などを一生懸命にやっています。彼によると、助産婦は男はダメで、安産を経験した女性が最も適しているそうです。
結局、これもどちらかというと、昔に戻る話なんですね。いろいろ医療が発展してきましたが、結局、昔のやり方が一番いいという、さっきの話とまったく同じになります。もちろん、昔は赤ちゃんも産婦も今と比べるとたくさん死んでましたが、最近は助産院でも搬送のシステムをだいたい持っていますので、助けることができます。搬送されてきた人をしっかり処置できるような設備が、いくつかあればいいわけです。以上のことがホロトロピックセンターのポイントです。
ホロトロピックセンターの基本姿勢
ホロトロピック・センターの基本姿勢としては、生のクォリティと死のクォリティをともに追求するということです。西洋医学は死を否定しておりますが、死を否定すると、色々な問題点が生じ、結局、チューブだらけにして一生懸命生かそうとするわけです。その技術は非常に発展しましたが、必ずしも、それがいいことではないのです。
ホロトロピックセンターの経営理念
経営理念としましては、健康で幸福で豊かな人生をサポートしていく。これは将来的には国民健康保険に代わる会員制の設備というものが考えられます。いますぐやりますと、経営的になかなか難しいですから、差しあたりは矢山クリニックのように、ホリスティック医療をやるということになるでしょう。また、矢山先生は気功の先生としても有名で、全国にたくさんのお弟子さんを持っておられますが、気功の指導を通
じて、健康法を指おられるわけです。こういう施設が、日本中にますます増えてくることを、私は希望しております。その中の診察の部分は、もちろん漢方が中心になりますので、今日お集まりの皆さんにもぜひ、こういうことをやっていただければと思います。
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