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2004年08月『ホロトロピック・センター構想』(2/4ページ) |
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ホロトロピックセンター構想
本日のテーマ、「ホロトロピックセンター構想」についてお話したいと思います。
病院という存在が、本来の人間、あるいは人間社会にとってあるべき姿と違うのではないか、ということを感じて、その病院に代わるものとして、ホロトロピック・センターというものを考えました。
基本的には、病気になって治してもらう病院ではなくて、病気にならないように指導していただけるところです。従って、病気になったときだけ対処するのではなく、生まてから死ぬ
まで、あるいは死んだあとまで全部対応する、ということです。
それから、もう一つのポイントというのは、病気というのはいったい何だろうか、ということです。
いま、西洋医学的に考えますと、病気というのは臓器の故障だ、臓器を修理すればいいじゃないか、ということになります。それもひとつの考え方として、修理できればいいわけですが、もっと精神的に見ると深い意味があるのです。これはすぐには、皆さんにも納得いただけないかも分かりませんが、たとえば、深層心理学を確立した一人である、ユングは、精神病になったこと、そして精神病から回復することを、「魂のひとつの成長のステップ」だといっています。彼は「魂の成長」ということばを使いましたが、日本で心療内科を始められた池見酉次郎先生は、それとまったく同じ意味で、「実存的変容」といっています。実存的変容というのも、実はユング心理学の言葉なんですね。たぶん池見先生はユング心理学から持ってこられたと思います。病気になり、それから回復していくというプロセスを通
じて、人間的成長が見える、というのが、一番の基本ではないかと考えました。
ですから、「ホロトロピック・センター」では、まず一つは病気にならないように指導します。生まれてから死ぬ
までの全部のケアをします。それから、そういうすべてのプロセスを、魂の成長、学問的には「意識の成長・進化」というプロセスの一部としてとらえます。
そのホロトロピックセンターの、ホロトロピックという言葉は、スタニスラフ・グロフ博士の造語です。ギリシャ語の「holos(全体)」と「trepein(向かって進む)」を合成して、「全体性に向かう」という意味で、個が個を離れて、全体としてひとつの宇宙と融合し、一体感を増していくということから、人々の「意識の成長・進化」をあらわしています。
古代ギリシャでは、全体ということと、癒すということ、健康、健全であること、聖なること、全部一体だったわけです。従って、こういう言葉というのは、非常に意味があり、病院に代わる新しい施設の名前として、非常に適しているだろう、と考えました。
「全体」という意味である「ホロス」から出てきているのが「ホリスティック」で、ホロスの形容詞形ですが、ホリスティック医療というのも、人体を西洋医学的に部品の集合としてとらえる診断ではなくて、身体をまるごと全部見よう、という考え方からきています。身体をまるごと見ているのは、たとえば漢方であり、アーユルヴェーダであり、いろんな代替医療ですので、そういう知恵をどんどん入れていきましょう、それで医療を改善しようというのがホリスティック医療ですね。ホロトロピックセンターの医療の部分は、もちろんホリスティック医療ですが、ただホロトピックセンターでは、むしろ健康を維持する方法、そして意識の成長・進化に重点を置いています。しかし、本当はホリスティックの一番の基本である、漢方の考え方には、それが全部入ってるんですね。だから私がホロトロピックといっても、別
に新しいことを言ってるわけではないので、昔の基本精神に立ち返りましょうということなんです。しかし、今のことばは大分使い古されているので、新しいことばを持ってきましょうということで「ホロトロピック」という言葉をあてたわけです。
現在、たくさんのお医者さんに賛同していただいていますが、1999年に『こんな病院がほしい』(毎日新聞社刊)という本で、この概念を提案させていただきました。(略)
共著者の一人の矢山利彦さんは、この本を書いた時点では、佐賀県立病院の東洋診療医長でしたが、その後独立されて、2001年12月にホロトロピックセンターの一号店を開院しました。また、東京で一つ進もうとしておりますし、北海道でも一つ準備が進んでおります。そういう動きが盛んになってきており、私どもの「マハーサマーディ研究会」も「ホロトロピックネットワーク」と名称を変えました。(略)
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