|
|
|
|
2004年08月『ホロトロピック・センター構想』(3/4ページ) |
|
|
日本の医療はいま
ところで、基本的に日本の医療はいま、どのような状況なのでしょうか。
小泉内閣は医療改革を一生懸命やろうとしていますが、全然改革していないですね。単に、患者の負担を増やそうというだけです。いま日本の医療費はご承知のように31兆円を超えており、大変な勢いで医療費が伸びています。それから、もうひとつは医療従事者、お医者さんとか看護士さんが、頭が下がるほど献身的に、患者のため、病院のために働いておられます。私はいま、会社におりますが、会社の従業員をあれほどこき使ったら、労働組合が黙っていません。それほどひどい過酷な労働をお医者さん方に強いています。しかしながら、全般
としては、医療システムというものは破綻しつつある、と私は思います。
産業というのは、成熟期を迎えると必ず、利益率が悪くなりますが、医療産業も、同じ状態です。病院の経営は、すごく厳しい状態で、いま市立病院、県立病院のほとんどが赤字経営なんですね。人件費が上がり、医療機器がものすごく高騰し、患者は多いんですが、赤字になってしまっている。内情を聞いてみますと、我々が会社でやってるのと同じようなことをやっているんですね。バジェット(予算)を作り、たとえば産婦人科と外科とを一生懸命競争させ、前年比で何%伸びるか、どっちが利益を上げるか、などとやっています。
そうすると、診療がどうなってくるでしょうか。
当然、薬がたくさん出ます。体に負担のかかる余分な検査がたくさん行なわれるようになります。もっと恐ろしいのは、余分な手術が行なわれます。たとえば産婦人科の帝王切開の手術ですが、健康保険がきくようになる前は1パーセント以内だったのが、現在はほとんどの病院で10パーセントを超えていますし、ちょっとタチの悪い病院ですと30パーセントを超えています。訴訟の多いアメリカでは、帝王切開をすれば、そのときの事故は訴訟になりにくい。逆に帝王切開しないと、事故が起きたときには訴訟を起こされてしまう。
帝王切開をすると、病院の収入は多くなるし、産婦のほうも、異常分娩ですから保険が下りるので、出費が少なくなるというわけです。そういうことで、余分な医療がものすごい勢いで行なわれて、それが年々どんどんふくらんでいます。
いまの資本主義社会において、これは当たり前の話で、産業というのは発展しないとやっていけないんですね。成長のなかにいろんな歪みを吸収していくというのが、資本主義社会なのです。医療産業も当然なわけで、病院も製薬会社も医療機器メーカーも全部ふくめて、医療産業全体が成長しないとやっていけないんですね。医療産業が成長するようなモチベーションは、あちこちにある。たとえばソニーの場合ですと、何か画期的な商品を作って消費者が増えれば成長できますけども、医療の場合は、患者がすべてですから、患者が増えるか、患者から余分に金を取るか、どっちかしか生き残る道がないのです。
いずれにしても、患者にとってはひどい話です。矢山さんがやっているように、漢方とかホメオパシー、フラワーエッセンスなどを中心にした医療をしますと、だいたい費用が3分の1ですみます。しかも、治療実績は一般
の病院よりはるかにいい。矢山クリニックには、日本全国から難病患者が来ております。
そうすると、いまの30兆円という医療費は、10兆円くらいで済むんですね。70万人の医療従事者が失業してしまうという問題がでてくるのですが。
昨日、西川先生が「長年医者をやってきたけれど、これからは食を研究して病気にならないようにしよう。そうすると医者がみんな失業するかもしれません」とお話なさいましたが、そういうことをやると、この10兆円がおそらく5兆円以下になるでしょう。
未病に対応するだけで、たぶん10兆円が5兆円になるし、食の指導を入れていきますと、さらに少なくなるかもしれません。
こういう方向性が、たぶん漢方の一番の理念だと思うんです。昔は、この資本主義経済ではない社会の構造を持っておりましたから、その理念通
りにやれたんですが、いまはお金が主題になってしまったがために、漢方の最も根本的な理念が通
っていないのです。
この理念を通そうとすると、ホロトロピックセンターということになります。また、70万人もの失業者を出すことはないんですね。医療従事者が、今度はみなさんを病気にしないように指導することで、お金がいただけるわけです。そうすると、余分な医療をしないで、きちっとやると、いまの国民健康保険にみなさんが払っているお金より、はるかに少ないお金で全部がうまく行くし、しかも、病気にならないように対処しますので、住民はハッピーなんです。(略)
●次ページへ>
|
|