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2004年10月『ホロトロピック・センター構想』(3/4ページ)

スピーチ1続き

 さて、私がウィリアム・コマンダ大長老にお会いしたのは1997年のことで、その直前に「マハーサマーディ研究会」という名のグループを組織していました。  「マハーサマーディ」というのは、瞑想中に至福のうちに肉体を離脱することをいいます。奇妙に響くかもしれませんが、インドのヒンドゥー教やチベットの仏教の僧侶たちの間では、ポピュラーな方法論です。あるいは、オーストラリアのアボリジニたちにも、そういう伝統があるそうです。
 いま、文明国のほとんどの人達は、病院の集中治療室で管だらけになってのたうち回って死んでいきます。いつの間にか私たちは、人間としての尊厳を保って自然に死ぬことが許されない社会になってしまいました。
 もし皆が「マハーサマーディ」の手法を学ぶことができれば、私たちは病院や集中治療室やモルヒネのお世話になることなく、尊厳をもって、至福のうちに肉体を離れることができます。
 したがって、皆でその方法論を探究することは意義があると考え、会を立上げました。これはいわば、「死に方研究会」ですから、こんな不吉な会に人が集まるかしらと思っていたら、たちまち八百人ぐらい入会してくれて、盛んに活動しています。
 じつは、文明国の大多数は、なんとか死から目をそらして生きています。これはとても不自然な無理な生き方です。よりよい死に方を考える、ということは死と直面することであり、それによって生きている一秒一秒が輝いてきます。つまり、「死に方研究会」は「生き方研究会」でもあるのです。
 また、私たちが魂の成長、つまり意識の成長・進化をするとき、必ず壁にぶつかり、そこで死の恐怖とまったく同じ種類の恐怖を感じて足がすくんでしまいます。死から目をそむけている人はそこから先に進むことはできません。つまり、この会の本来の目的は、会員ひとり一人の意識の成長・進化を援助することにあります。ここでの言い方に従えば「赤い道」を歩く人たちのための会、ということになります。

 そういう主旨で活動をすると、やらなければいけないことが沢山あることに気付きます。たとえば、誕生の問題は深刻で緊急です。医療の介入が過剰になってしまったのです。帝王切開は十倍以上に増え、陣痛促進剤の使用があたり前になってしまいました。医師の勤務時間帯で処置をすませ、なおかつ産院の儲けを最大にするためです。
 世界平和を達成する早道は、声高に平和を叫ぶことではありません。平和団体を作って平和のために「戦う」ことではありません。それより、世界中の母親たちが、自然に分娩し、へその緒がついたまますぐに抱き取って心音を聞かしてやり、初乳をやって母乳で愛情深く育てればいいのです。その子は必ず、平和の使者になり、そういう子で満たされればこの地球上から戦争はなくなるでしょう。  このことはすでに、高名な心理学者である、スタニスラフ・グロフ博士の学説により証明されています。  結局そういうことを総合すると、昔ながらに助産婦が来て家で産むのが一番よい、という結論になります。文明の進歩が必ずしも良い結果を生んでいない一例です。
 誕生の問題に引き続いて、医療の問題に取り組んでいます。  その昔、世界中の医療者(medicine person)は、身体だけでなく心や魂などすべてを扱っていました。今日では、あまりにも分業が進んでいます。
 魂の問題は宗教者に、心の問題は精神科医かカウンセラーに分離されたのをはじめ、身体の問題も、内科、外科、耳鼻咽喉科などに分かれ、さらにはたとえば食道癌の専門医はそれしか見ません。あまりにも、部分部分の専門に分割されてしまって、患者全体を誰も看ていないのが現状です。
 まず医療改革の一番目として、すべてを統合して看る、ということが上げられます。我々は、ひとつの身体と、心と魂によって成り立っているからです。
 次に、病気を扱う態度を見直さなければいけません。そうすると、病院という存在そのものが疑問になります。ホスピタル(病院)という言葉は、ホスピタリティ(親切にもてなす)からきていますが、今日の病院にホスピタリティを感じる人は少ないでしょう。  健康な人でも病院に行けば病気になるほどです。  それから、病気になったときだけ行って病気を治すという考え方、また、病人が多いほど、あるいは治療が長引くほど病院が儲かるというシステムも、どこかおかしいと思います。
   したがって、病院にかわる新しい概念の施設がどうしても必要だと思います。そこでは人々が病気にならないように指導し、少しバランスを崩したぐらいのときに、ちゃんとバランスを取り戻すようにし、病気の時だけでなく生まれてから死ぬまでケアをし、人々の意識の成長・進化を援助し、人々が高い精神を持って正しい道、ここでいう「赤い道」を歩むことを援助する施設です。  (このとき湖で、三羽のアビ(loon)が、羽でバチャバチャと水を叩き、大きな声で鳴いた。聴衆は騒然となり、口々に「オー、彼らは喜んでいる!」「あなたの意見に賛成したのよ!」などの声が上がる)

 その昔、日本の医療は養生、つまりいかに健康を保つかが主体であり、人々がスピリチュアルに育つことを援助していました。
  また、高名な心理学者のユングは、精神的な病気になること、あるいはそれから回復することは魂の成長にとって、とても大切なプロセスだと説きました。これは精神的な病だけでなく身体的な病にもあてはまります。
 すべての出来事は、私たちの精神や魂のプロセスなのです。
 したがって、病院にかわる新しい名前を見つけなければいけません。そこで私は、「ホロトロピック・センター」という名前を使うことにしました。
  「ホロトロピック」というのは、グロフ博士の造語で「全体性へ向かう」という意味であり「赤い道を行く」というのと全く同じことです。彼の開発したブレスワークにつけた名前ですが、それが単なる癒しのためではなく、魂の成長を目指しているためです。
 私は、1998年にグロフ博士に日本でお会いして、病院にかわる新しい概念にその名前を使わせてくれ、と頼みました。彼は、それは自分にとっても名誉なことだ、と快諾してくれました。  この新しい概念を提案した本を、私は1999年に出版しました。驚いたことに、多くの医者が興味を持ってくれました。日本には、思いのほかスピリチュアルな医者が多いのです。
 すでに、最初のホロトロピック・センターが、日本の南端、九州の地に2001年の12月に設立された他、東京と北海道でも設立準備が進んでいます。これはすでに医師の間の大きな動向になりつつあります。スピリチュアルな医師は増加しつつあるように思います。
 そこで私は、会の名前を「マハーサマーディ研究会」から、「ホロトロピック・ネットワーク」に変えることにしました。なぜなら、これは日本の社会にとって、とても大切な動きだと思ったからです。
 ホロトロピック・センターでは、診療と治療を行いますので、医師の存在は不可欠です。日本の法律はとても厳密なのです。
 そして、医師のいない施設、つまり診療や治療はしないけど、人々の健康を維持し、癒す施設をホロトロピック・リトリートと名付けました。こちらは宿泊できるといいと思います。たとえば、スウェット・ロッジやパイプセレモニーは、ホロトロピック・リトリートにとっては、とても有効なサービスだと思います。
 すでに日本では、何人かがホロトロピック・リトリートの設立準備を進めています。
 日本のことばかりお話しましたが、このことは「赤い道」を歩むすべての人にとって重要だと思います。いつの日か、日本以外でも、ホロトロピック・センターやホロトロピック・リトリートが設立されると嬉しく思います。  本日ここに来て、私の考えを述べさせていただいたことをとても嬉しく思います。機会を与えていただいた、ウィリアム・コマンダ大長老に感謝します。 どうも有難うございました。メグ・ウィッチ(略)

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